働く育児女性を取り巻く社会課題

およそ2人に1人の女性が、出産を機に仕事を辞めています

日本において働く女性は年々増加し続けています。M字カーブ(女性の年齢階級別労働力率)の底辺値にあたる30代育児期の就業率も上昇し、その形はゆるやかな台形へと変化しつつあります。


出典:厚生労働省「令和2年の働く女性の状況」

しかし、その実態は非正規雇用労働者がおよそ半数を占め、出産時に就業継続を選択できない女性が多くいます。

そのため、第一子出産を機に離職する女性の割合はいまだ46.9%にも上っています。


出典:厚生労働省 令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業 

出産時の離職理由については「家事育児により時間を割くために辞めた(31.7%)」、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた(28.5%)」などが上位に挙げられています。


出典:総務省統計局 労働力調査(詳細集計)2021年(令和3年)7~9月期平均

また女性が非正規雇用を選んだ主な理由について「自分の都合のよい時間に働きたいから(34.1%)」、「家計の補助・学費等を得たいから(22.1%)」、「家事・育児・介護等と両立しやすいから(15.4%)」といった理由が上位を占めています。

 

家庭内での家事・育児への取り組みにおける男女格差も、女性の非正規雇用率を上げる大きな要因です。東京都の調査によると、子育て世代の家事・育児にかける時間について、男性が週あたり3時間34分であるのに対し女性は8時間54分と、5時間20分もの差がありました。

このような状況では、仕事と育児の両立が難しく出産を機に離職した女性の52.5%が、「自分の気力・体力がもたなそうだった(もたなかった)」と回答していることも納得のいくところでしょう。


出典:東京都 令和3年度男性の家事・育児参画状況実態調査

仕事と育児・家事の両立の実現へ向けて

このように自らの働き方について、仕事と家事・育児のバランスを維持するためには、現状これまで積み上げたキャリアや正規雇用(正社員)を諦めざるを得ないという女性が多く存在していることが分かります。

これらは育児期の女性が就業を継続し、社会で活躍し続けていくために解決しなければならない課題です。現在、その解決にあたり多様な働き方に向けた環境の整備、企業における意識改革と理解の促進などの総合的な取組みが進められています。

一般社団法人育児キャリアアップ推進機構は、

育児女性の働く意欲やスキルの習得と、仕事と家事・育児の両立を支援する

そのために、さまざまな講座や活動をおこなっています。

女性は結婚出産を機に、働き方や生活スタイルも大きく変わるもの。
時にどう生きていけばいいか悩み、迷うこともあります。

そんな女性たちが、安心して家庭と両立しながら社会で自立していくことができるよう、そして長く働いていくことができるように寄り添っていきたいと思っています。